塩見岳 鳥倉ルート1泊2日|塩見小屋の中と三伏峠カレーを全部見せます
南アルプスの奥深く、鳥倉(とりくら)登山口から歩いて2日。白根三山(北岳)より南はまだ歩いたことがなく、今回が初めての塩見岳でした。狙いは山頂……だけではありません。三伏峠小屋の名物カレーと、稜線にぽつんと建つ塩見小屋での一泊です。
この記事では、山頂までのルート解説はもちろん、「山小屋の中がどうなっているのか」を写真でとことんお見せします。寝床のサイズ、カーテンの仕切り、携帯トイレの使い方、売店の値段表、充電できる場所、そして食事は全部。泊まる前に知っておきたかったことを、まるごと詰め込みました。
📋 この記事でわかること
🎥 今回の塩見岳、動画でも公開中!山小屋の様子もたっぷり映しています。ぜひチャンネル登録もよろしくお願いします😊
※ 2026年8月3〜4日の実績。コース定数=ルートの体力度で、日帰りは20台前半までが目安(57は宿泊装備でしっかり歩ける人向け)

ついに南アルプスの南側デビュー!ボク、白根三山から南は初めてなんだ。今回のいちばんの目的は……三伏峠小屋のカレーだけどね🍛

出た、カレー目当て!でもボクは塩見岳の鎖場が楽しみだなー。岩、登れそうじゃない?

おぬしら、鳥倉からの塩見はコース定数57。ルートの体力度を表す数字で、日帰り登山なら20台前半までが目安と言われておる。2日に分けても、1日あたりはかなり歩く行程じゃ。水場も1ヶ所しかないから、計画は丁寧にな。

ふふ…その前に、前の日の温泉も楽しみだね♨️ 登山口の近くに、トロッとしたいいお湯があるんだよ。まずはそこから紹介しよう。
前日入りのすすめ|諏訪湖SAグルメ・温泉・車中泊
鳥倉登山口は東京から遠く、朝イチで歩き出すなら前日入り+駐車場での車中泊が現実的です。多くの登山者が同じ工程を辿るはずなので、実際の前日の流れ——SAで夕食→温泉→駐車場で車中泊——をそのまま紹介します。
東京からアルプスへ行くときは、いつも諏訪湖SA


東京から北アルプス・南アルプスへ向かうとき、いつも寄るのが諏訪湖SA。ふだんは24時間営業のフードコート「山美湖(やまびこ)」でお蕎麦を食べるのですが、この日はレストランも開いていたのでそちらへ。




煮かつ膳1,680円/ざる蕎麦1,060円/信州サーモン刺身膳1,780円。さらにたま蒟蒻210円/五平餅420円まで。明日から2日間歩くので、しっかり食べておきます。
※ 本記事の料金・価格はすべて登山当時(2026年8月)のものです。最新情報は各施設の公式サイト等でご確認ください。

登山前夜って、いちばんワクワクするよね。これ全部食べるよ!

五平餅、ボクにもひとくち!
信州まつかわ温泉「清流苑」|登山前後にちょうどいい

車中泊の前にひと風呂。信州まつかわ温泉「清流苑」がとても良かったのでぜひ。松川ICの近くなので、塩見岳の登山前後の利用にぴったりです。



町営の古い温泉をイメージしていたら、まったく違ってモダンな造り。タッチ決済にも対応していて便利でした。館内は広々としていて若い家族連れが多く、内湯は足湯を含めて6つ、露天風呂は水風呂を含めて3つ、サウナもあり。泉質もトロッとしていて気持ちよかったです。館内にレストランも完備しているので、次回はここで夕食にしてもいいかもしれません。
♨️ 信州まつかわ温泉 清流苑 メモ
長野県下伊那郡松川町大島2784-1/TEL 0265-36-2000。中央道・松川ICから車で約5分。内湯と露天あわせて9種のお風呂とサウナがあり、泉質は肌にやさしいアルカリ性単純温泉。日帰り入浴は夜まで営業しています(訪問時は大人500円・20時台まで)。最新の営業時間・料金は清流苑 公式サイトでご確認ください。

トロッとしたお湯…ここは長風呂しちゃうやつ。サウナもあるし、下山後にも最高だね。
鳥倉第1駐車場で車中泊
お風呂のあとは鳥倉第1駐車場へ移動して、21時ごろ到着・そのまま車中泊しました。標高約1,650mなので8月でも夜は涼しく、朝はそのまま歩き出せます。トイレもあるので車中泊地としては申し分ありません(週末は満車が早いので、早めの到着が安心です)。

夏の車中泊は「窓を開けたいけど虫が入る」が最大の悩み。ボクは車用の網戸+充電式の扇風機で解決してるよ。ぐっすり眠れるかどうかで、翌日の登りが全然違うからね。
車中泊装備の選び方は、車中泊の聖地・新穂高でまとめた登山口で車中泊するための記事でも詳しく紹介しています。
鳥倉登山口のアクセス・駐車場・トイレ
塩見岳の西側からの登山口が鳥倉(とりくら)登山口です。ただし「登山口」と名前の付いた駐車場から実際の登山口までは3kmの林道歩きがあります。ここを知らずに来ると出鼻をくじかれるので、最初に押さえておきましょう。




駐車場は第1〜第3まであり、第1が約30台・第2が約15台・第3が約30台。第1にだけ男女別の公衆トイレがあります。今回は前日21時ごろに到着して車中泊しましたが、週末は第3まで満車になり路上駐車も出るとのことでした。
トイレの様子(第1駐車場)




男性用は小便器がひとつと、和式の水洗ボットン式がひとつ。拭いた紙はそのまま流せるタイプで、ペーパーの予備も十分ありました。
越路ゲートと登山届


第1駐車場のすぐ先が越路(こしじ)ゲート。ここから先は一般車両は入れません。ゲートには登山届のポストがあり、まだまだ手書きの提出も多いようでした。

遭難時の初動を考えれば、オンライン提出のほうが確実じゃぞ。とはいえ紙しか使わぬ層もおる。どちらでもよいから、必ず出すことじゃな。

ボクはオンライン提出のみ派だよ。スマホでサッと出せるし、下山通知まで自動でいくから家族も安心なんだ。
バスの時刻(マイカー規制区間)

公共交通機関の場合は伊那バスを利用します。鳥倉登山口行きは8:19と13:44の2本、JR伊那大島駅・松川インター行きは9:27と14:47の2本(第1駐車場「越路」発)。終点の鳥倉登山口バス停発は9:15と14:35の1日2本です。
🚌 南アルプス登山バス 鳥倉線(伊那バス) メモ
JR伊那大島駅と鳥倉登山口を結ぶ夏季限定の登山バス。2026年度の運行期間は7月18日〜8月30日で、1日2往復のみの運行です。乗り遅れると行程が大きく崩れるので、最新の時刻表・運行日は伊那バス公式サイト(鳥倉線)で必ず確認を。
🅿️ 駐車場まとめ
- 第1駐車場:約30台/公衆トイレあり/バス停「越路」あり
- 第2駐車場:第1から約1.2km/約15台/バス停あり
- 第3駐車場:第2からさらに約500m/約30台/バスは停まらない
まずは3kmの林道歩き〜鳥倉登山口

ゲートを越えると、まずは約3kmの林道歩き。これがとにかく長い。舗装路がどこまでも続くわりに、標高はほとんど上がりません。帰りは無心で歩きました。舗装路が終わると砂利道に変わり、そこからは意外とすぐに登山口へ着きます。


林道には上部から落ちてきた石や岩があちこちに転がっていました。落石には十分注意したい区間です。





バス停「鳥倉登山口」が林道の終点。小さな東屋と、奥には簡易トイレもあります。和式でトイレットペーパー備え付き。YAMAPの地図には載っていないので、夏季限定の設置かもしれません。

豊口ルート|1/10〜10/10の標識と唯一の水場
鳥倉登山口から三伏峠までは、1/10から10/10までの番号標識が目印になります。数字が増えていくのは励みになりますが、人によっては逆にしんどさが増すかもしれません。




登山道の脇には、さっそく夏の花。ヤマオダマキとバイケイソウが出迎えてくれます。



序盤は九十九折りで一気に標高を上げていきます。足元はフカフカで歩きやすく、あたりは八ヶ岳にも似た苔の森。ガスが立ち込めると、そのままミストの森になります。




南アルプスはな、「深い」のじゃ。北アルプスのようにロープウェイで一気に上がる山が少なく、麓の森からじっくり歩いて登る。だからこの苔の森が長い。ここを味わえるかどうかで、南アルプスの好き嫌いが決まると言ってもよいぞ。

たしかに、すれ違う人も少なくて静かだね。森の匂いが濃いというか……これが南アルプスかぁ。

ボクは早く岩場に行きたいけど……この森、たしかにずっと歩いていられるかも。
そして苔の森は、キノコの森でもあります。





この子たち、仲良しでかわいい…。パンみたいな色のもいるね。
虫対策にハッカ油が効きました

頭のまわりをアブが飛びはじめたのでハッカ油を投入。虫除けとしての効果は断言できませんが、清涼感で気分がスッキリしますし、しばらくするとアブはいなくなりました。夏の樹林帯では手放せません。持ち歩きはガラスの遮光スプレー小瓶に移し替えるのがおすすめ。ハッカ油はポリスチレン製の容器を溶かしてしまうため(メーカーも注意書きをしています)、ガラス製が安心です。
足元に注意したい区間




左側が斜面になって道が狭くなる箇所、木がしなって怖い桟橋、部分的に崩落している古い木階段など、気を抜けない場所が点在します。すれ違いは道幅のある場所で。




整備された道の足元にも、よく見ると花が続きます。セリバシオガマとカイタカラコウ。


一方で、崩落しやすい斜面にはしっかりした階段と手すりが整備されていました。資材をここまで運ぶ苦労を思うと、ありがたく使わせていただくばかりです。

唯一の水場「ほとけの清水」

このルートで水場はここ1ヶ所だけ。訪問時はチョロチョロという程度の水量でしたが、顔と腕を洗わせてもらいました。冷たくて最高です。水は基本的に担ぎ上げる前提で計画してください。

水場が1ヶ所だけって、けっこう緊張するよね。ボクは多めに持って上がったよ。

塩見小屋では水を購入することになる。500mlで500円じゃ。持ち上げるか買うか、体力と相談じゃな。
水場の前後では、白い花が目立ちました。トリアシショウマとゴゼンタチバナです。




途中の三叉路では塩川小屋方面の登山道が閉鎖されており、ロープが張られています。
日陰にはオトギリソウと、真っ白なギンリョウソウ。



ギンリョウソウは葉緑素を持たぬ。菌から栄養を分けてもらって生きる、森の不思議な住人じゃ。日の差さぬ暗い森で咲けるのは、そのおかげなのじゃぞ。

三伏峠小屋|日本一高い峠に建つ山小屋
小屋の手前には「あと200歩」の看板。身長178cmのイッチーの歩幅で数えたところ、実測は190歩でした。ほぼ看板どおりです。

三伏峠(さんぷくとうげ)は「日本一高いと言われる峠」。その峠に建つのが三伏峠小屋です。今回は宿泊しませんでしたが、翌日の下山時に名物カレーをいただく約束の場所でもあります。




入り口の前には「やまの本屋」の文字。山の本がずらりと紹介されていました。SNSに投稿したりフォローしたりすると、オリジナルステッカーがもらえるそうです。
🏔️ 三伏峠小屋 メモ
長野県下伊那郡大鹿村。宿泊は宿泊日の21日前からネット予約(クレジットカード決済)。テント泊は予約不要です。連絡所TEL 0265-39-3110(7〜17時・19〜20時)。名物カレーは今回、昼前の時間帯に注文できました。予約・営業期間の最新情報は三伏峠小屋 公式サイトでご確認ください。
トイレ(屋外・1回200円)





屋外トイレは1回200円。手前の3つほどは使用禁止で(週末など混雑時のみ開放するのかもしれません)、この日は右端の和式(男女共用)と男性用小便器が1ヶ所ずつ開放されていました。拭いた紙は目の前のゴミ箱に捨てるタイプです。
テント場とWi-Fi




テント場は小屋の目の前。そしてここ三伏峠は、TJAR(トランスジャパンアルプスレース)のチェックポイントとしても知られる場所です。テレビ放送で見覚えのある方も多いはずです。
TJARは、富山湾(魚津・早月川河口)から北アルプス・中央アルプス・南アルプスをすべて自分の足で縦断し、静岡の駿河湾(大浜海岸)まで約415km・累積標高差約27,000mを8日間以内で駆け抜ける、「日本一過酷」と称される隔年開催の山岳レース。ちょうどこの記事を公開した2026年8月も大会期間(8月9日〜16日)で、選手たちがこの峠を駆け抜けていきました。

415km!? ボクたちが2日かけて登ったこの道も、選手にとっては通過点なんだ……すごすぎる!

ボクらはボクらのペースでいいんだよ。でも、同じ峠を選手も通ってると思うと、ちょっと胸が熱くなるね。
🏃 TJAR(トランスジャパンアルプスレース)メモ
日本海(富山湾)から太平洋(駿河湾)まで日本アルプスを縦断する約415kmの山岳レース。隔年8月開催で、2026年大会は8月9日0時〜8月16日24時。三伏峠は南アルプス区間のチェックポイントのひとつです。大会情報・選手の位置情報はTJAR公式サイトで公開されています。
山小屋Wi-Fiも使えて、au以外の回線でも課金すれば利用できます。新館の横にもWi-Fiがあるようでした。
小屋前に咲いていた花


小屋の目の前にはハクサンフウロとタカネシオガマ、そしてタカネマツムシソウが咲いていました。
オリジナルドリップコーヒー


三伏峠小屋オリジナルのドリップコーヒーはお湯あり500円/お湯なし400円。中煎りでフルーティーな香りがして、とてもおいしくいただきました。

峠でこの一杯はぜいたくだなあ。ここでもう帰ってもいいくらい……いや、カレーは明日ね🍛

まだ登ってもないのに帰ろうとしないで!
三伏山〜本谷山|鹿の食害という現実




三伏峠から塩見岳方面へ。分岐を左に進むとすぐに三伏山(2,615m)です。右手には烏帽子岳が見えました。山頂標識には地図が掲示されていて、このあたりは「十山(じゅうざん)」という会社の社有林とのこと。調べてみると日本一広い私有地だそうです。




「のぞき岩」に寄り道。晴れていればどんな景色が見えたのでしょうか。行動食には長野のスーパー・ツルヤのキャンベル&巨峰ぶどうグミ。ハード系でグミ好きにはたまりません。
お花畑が、消えていました



YAMAPの地図に「お花畑」と書かれた場所に着いて、言葉を失いました。あたりの植物は鹿の食害でほとんど食べ尽くされていたのです。今年はコバイケイソウの群生も期待されていただけに、本当に残念でした。

防鹿柵で守られている植物もありますが、ごく一部だけ。YAMAPではこの問題に対するクラウドファンディング(ふるさと納税型)も行われているので、気になった方はチェックしてみてください。

ワシら高山の生き物にとって、この食害は死活問題じゃ。花が消えれば虫が消え、虫が消えれば鳥も消える。

歩いてる人間が「きれいだね」って言えるのは、こういう手入れがあってこそなんだね……。




本谷山に到着。山頂は木々に覆われていて、この日は残念ながら眺望ゼロでした。




本谷山から一旦鞍部まで下り、そこから登り返し。本谷山から塩見小屋までの1時間40分がいちばん長く感じました。途中では鹿にも何度も遭遇します。




道中には木の看板がいくつも現れます。「小屋はじきかやぁ?」「いんね、あと40分だに」——この地方の方言でしょうか。疲れた足に効く看板でした。




看板を過ぎると九十九折りの急登。ゆっくり呼吸を整えれば大丈夫です。森林限界を超えると、ようやく塩見岳が姿を見せてくれました。

出たー!あれが塩見岳!?兜みたいでカッコいい!

ここまで6時間ずっと森だったから、この瞬間はゾクッとしたよ。長い森を抜けた人だけが見られるご対面だね。
塩見小屋 徹底レポ|写真で見る「泊まる前に知りたかったこと」
ここからがこの記事の本題です。塩見小屋は塩見岳の山頂まで約1時間の稜線に建つ小屋。水も電気も限られた環境で、トイレは携帯トイレという、少し特別な山小屋です。はじめて泊まる方が不安に思うポイントを、ぜんぶ写真で見ていきましょう。



小屋は本館と別館の2棟。本館が20名、別館が16名の定員です。ソロや3名以上など奇数のグループは手前の本館になるようでした。
⛰️ 塩見小屋 メモ
塩見岳山頂まで約1時間の稜線に建つ完全予約制の山小屋(運営:伊那市観光株式会社)。今回の宿泊時は本館20名・別館16名の定員でした。小屋のシュラフを使うならインナーシーツ持参(売店で800円で購入も可)・飲料水は500ml 500円/2L 1,000円・トイレは携帯トイレ方式です。予約方法・営業期間は塩見小屋 公式案内ページでご確認ください。
受付・南アルプス登山道協力金




受付では南アルプス登山道協力金を支払うとステッカーがもらえます。あわせて携帯トイレの使い方のレクチャーを受けます。何度か使ったことがあっても、初見の方は多いはず。分からない点はここでしっかり聞いておきましょう。
📋 塩見小屋の基本ルール
- 飲料水は500mlで500円/2Lで1,000円
- 小屋で購入した空き缶・ペットボトル・カップ麺のゴミはすべて持ち帰り
- 売店の営業は7:00〜18:00
- トイレは携帯トイレのみ(宿泊者は無料・何回でも)
- 小屋のシュラフを使うならインナーシーツ持参(無い場合は売店で800円)
寝床|二段ベッド+カーテン仕切り




今回は二段ベッドの下の段。分厚い敷布団と掛け布団、毛布、枕が一式そろっています。隣との間仕切りはカーテンのみ。半個室のような雰囲気はありますが、音は通ります。

寝床の長さは、身長178cmのイッチーが横になっても足元に余裕があるほど。たいがいの身長はカバーできそうです。
そして塩見小屋で用意しておきたいのがインナーシーツです。小屋の公式サイトでは、小屋のシュラフを使う人はインナーシーツと枕カバー(タオル等)を持参してほしい、と案内されています。持っていない場合は売店で不織布のインナーシーツ(800円)を買うこともできます(使用後は持ち帰り)。受付で持参の有無を細かく確認されるわけではありませんが、直接シュラフに入るより格段に快適なので、用意していく価値は十分あります。なお、自分のシュラフを持参してレンタルが不要な場合は、宿泊料が600円割引になると案内されています。イッチーが愛用しているのはSEA TO SUMMIT のシルクブレンドライナー。重さ154g・収納時は手のひらサイズで、シルクのなめらかな肌ざわりが山小屋の夜を格段に快適にしてくれます。朝の外気温は12℃まで下がるので、軽いダウンも一緒に入れておくと夜がぐっと快適になります。




本館の様子と小屋の案内図。ザック置き場はやや小さめで、下の段は横にしないと入らず、ザックのサイズによっては入らないと思います。更衣室もあり、到着後18:00まで使えます。


小屋に着いたらまず着替える派のボクとしては、更衣室があるのは本当にうれしい!

汗で濡れたまま過ごすと、稜線の小屋は夜が冷える。着替えは体温管理そのものじゃぞ。
朝起きる時間が人それぞれ。耳栓とアイマスクは必須級
カーテン仕切りということは、光も音もほぼ素通りということ。朝3時に出発する人もいれば、6時までゆっくり寝る人もいます。アイマスクと耳栓は「あると快適」ではなく、山小屋泊では必需品だと思っています。
トイレは携帯トイレのみ|使い方も写真で



トイレは携帯トイレブースのみ。小屋から徒歩20〜30歩ほどの場所にあるので、雨の日は傘をさして行くことになります。使用済みの携帯トイレは回収ボックスに捨てられます——ここが塩見小屋の優しいところで、山から持ち帰る必要はありません。
🚻 携帯トイレの料金(塩見小屋 公式案内より)
- 宿泊者:トイレ袋は男女とも必要数無料配布・回収も無料。男性用小便器も無料
- 宿泊者以外(通行の登山者):トイレ袋1枚300円(回収料込み)で購入可。持参した携帯トイレの処分は回収料100円、男性用小便器は1回100円
- 持参した携帯トイレを持ち帰る場合はブース利用料なし
- 使い分け:男性は大のときのみ袋が必要、女性は大・小とも袋を使用


ブースの中は人感センサーで自動点灯。携帯トイレを便座に装着して使い、拭いた紙もすべてその中へ入れます。


なお男性の小用はかなり開放的な場所で行います。ほぼ外です。女性の小は携帯トイレを使用します。

ぜんぶ持って帰るって、最初はちょっとびっくりするよね。

水の乏しい稜線で環境を守るには、これがいちばん確実な方法なのじゃ。慣れれば何ということはない。
携帯トイレは小屋でももらえますが、使い方に慣れておくと当日あわてません。普段の登山でも1〜2個ザックに入れておくと安心です。そしてもうひとつの実践知が「人間のオムツ用の防臭袋」。携帯トイレ付属の袋だけだと、正直ニオイは漏れます。BOSの防臭袋に入れて口を結べば、ザックの中でも気にならないレベルになるので、携帯トイレとセットで持つのがおすすめです。
売店|値段はぜんぶこちら








売店のラインナップと価格です。おはぎはあんこ・きなこ 各600円(そば茶付き)、2個で1,000円。スティックタイプのコーヒーや紅茶は各200円(お湯付き)、ペットボトルドリンク600円、ゼリー各種500円、カップワイン1,000円、レモンサワー600円、缶ビール350ml 700円、粉末アクエリアス1袋200円、CCレモン600円。カップ麺は各600円(信州味噌ラーメン/どん兵衛そば/どん兵衛うどん)。


この日のランチはおはぎ(あんこ・きなこ両方)とどん兵衛。もちろん両方食べます。
挽きたてのオリジナルブレンドコーヒー




塩見小屋オリジナルブレンドコーヒーは、注文を受けてから豆を挽いてくれます。通常700円のところ宿泊者は特別価格500円。とてもフルーティーな香りで、外は雨という時間帯にこの一杯はしみました。

このミル、かわいくない?とりあえずAmazonのカートに入れておいたよ。

山の上で挽きたて…しあわせ。
充電|無料。ただしルールあり

充電はこの場所で無料でできます。ただし充電器の利用は1人1台までで、各部屋に持っていくことはできません。部屋にコンセントはありません。充電しながらのスマホ操作も不可です。
つまり、モバイルバッテリーは自前で用意していくのが基本。1泊なら10,000mAhクラスで十分足ります。山小屋ごとの充電・バッテリー事情は山小屋のモバイルバッテリールールまとめに詳しくまとめています。
展望所|電波が入る唯一の場所




小屋の横にある展望所は、電波が入る貴重なスポット。日本通信SIM(回線はドコモ)だと、ここに立てば電波を拾えました。小さなテーブルと切り株の椅子が3つほどあり、酒盛りを楽しむ登山者の姿も。

夕食|ロールキャベツとエビフライ

夕食はロールキャベツとエビフライ。スープとご飯は食べ放題で、ご飯は3杯おかわりしました。キビの入ったご飯です。ただし30分で次の回に交代なので、のんびりはできません。おかずの量はそれほど多くないので、残さずしっかりいただきましょう。

ご飯おかわり自由って聞いた瞬間、ボクの目の色が変わったよね。2杯目は大盛りにしてもらいました🍚

3杯って……ボクより食べてるじゃん!
朝食|鮭とウインナーと卵焼き


朝食は鮭・ウインナー・卵焼きがメイン。朝からご飯とお味噌汁をたくさんおかわりしました。この日の外気温は12℃。8月でもしっかり冷えます。
🧥 8月でも防寒着は必須
朝の外気温は12℃。行動着のままだと、じっとしている時間はかなり寒く感じます。薄手のダウンやフリースを1枚、必ずザックに入れておきましょう。
塩見岳へ|鎖場とブロッケン、そして山頂




2日目は5:44に塩見小屋を出発。別館のすぐ横が登山道です。最初はハイマツゾーン。早朝は朝露で濡れますが、この時間帯はすでに多くの人が出発した後でだいぶマシでした。

陽射しが差し込むと同時にブロッケン現象が現れました。ガスの多い日ならではのごほうびです。
ハイマツ帯に入ると、足元の花も高山仕様に変わります。ミヤマウイキョウとタカネツメクサ。


岩が語る、大昔の海の底


鳥倉登山口から塩見岳山頂にかけて、石灰岩→粘板岩→チャート→赤色チャート→緑色岩と、次々に違う岩石が現れます。写真は手前が赤色チャート、奥が緑色岩(グリーンストーン)。色がはっきり違うのが分かります。大昔の海の底が隆起して、こうして地層が顔を出しているのです。

足元の岩を見れば、何億年という時間が読めるのじゃ。塩見岳は「岩の教科書」のような山じゃな。
その岩のすき間を選ぶように咲くのが、イワツメクサとチシマギキョウです。


鎖場|落ち着いて三点支持で




森林限界を超えると岩場の鎖場が現れます。なかなかの傾斜ですが、手と足をうまく使って登れば問題ありません。落石注意の看板があるので、人によってはここからヘルメットを装着すると良いでしょう。
鎖のすぐ脇にも花。イワオウギは花と実の両方が見られました。






ガスで岩が濡れていると滑りやすくなります。マーキングを追いながら、上から下りてくる人と声を掛け合って譲り合いながら進みましょう。この日は早い時間に登った人たちが「30分粘ったけどガスガスだった」と言いながら下りてきていました。

岩場たのしー!ここ、手がかりいっぱいあるね!

おこちゃん、落石だけは本当に気をつけて。下に人がいるかもしれないからね。
ひと登りごとに、花の顔ぶれが変わっていきます。シコタンソウにタカネヒゴタイ。


山頂直下まで来ると、コゴメグサやタカネシオガマ、イワベンケイなど、岩にしがみつくような小さな花ばかりになります。花の名前と見頃は山の花 見頃カレンダーもあわせてどうぞ。





よいか、ここで気づいてほしいのじゃ。樹林帯の花は鹿に食べられ、岩場の花は残っておる。つまりおぬしらが稜線で見る花は、鹿も届かぬ場所で生き延びた強者たちなのじゃ。

そう聞くと、一輪一輪がもっと愛おしく見えるね……。
塩見岳 山頂





塩見岳は西峰と東峰のふたつのピークを持ちます。歩いて数分、あっという間に行き来できる距離で、東峰(3,052m)のほうが西峰(3,047m)より少しだけ高いです。

この日はガスがち。それでも一瞬だけガスが抜けて仙塩尾根が姿を見せてくれました。南アルプスで最も長い尾根です。写真には収められませんでしたが、ガスの切れ間からは富士山も見えました。

仙丈ヶ岳から塩見岳まで、営業小屋のほとんどない尾根が延々と続く。南アルプスの奥深さの象徴じゃな。ワシはこの尾根を眺めるたび、山の大きさに背筋が伸びる思いがするのじゃ。

いつか歩いてみたいなあ。よし、次の目標リストに追加!……その前に今日は無事に下りようね。
足元はトレランシューズで

今回の足元はMERRELL アジリティピーク。塩見岳の岩場も全く問題なく歩けました。前の週に剱岳(別山尾根)を歩いていたこともあり、鎖場もスムーズ。靴下は5本指のinjinjiです。「登山靴じゃなくて大丈夫?」という方はトレランシューズが正解な理由もどうぞ。

ボクは岩場でもトレランシューズ派。軽くて足がよく動くから、こういう長い行程ほど後半に差が出るんだよね。
下山|お待ちかねの三伏峠カレー🍛



下りながらも、頭の中はもうカレーのことでいっぱいです。途中にはバッタみたいな形の木や、ボクシンググローブみたいなキノコ。
花たちも見送ってくれました。ミヤマトウキとハクサンフウロ。





三伏峠小屋の管理人さん手作りカレーは1,200円。具材が溶け込んだ、とてもおいしい甘口のカレーでした。あわせて注文した温かい山菜そば(1,200円)も、山菜とキノコとお揚げが入っていて美味しかったです。

この写真、今回いちばん嬉しそうにしている一枚です。やっぱりカレーは人を笑顔にしますね。ちなみに後ろにいた登山者3名も、このあと全員カレーを注文していました。

ここまで歩いてきたごほうび。この一皿のために塩見岳に来たと言っても大げさじゃないよ🍛

しあわせそうな顔してる…。
三伏峠小屋 屋内トイレ(外来は300円)



小屋の中のトイレは洋式の水洗で、とても綺麗でした。拭いた紙は目の前のゴミ箱に捨てるタイプ。手洗いの水も出て、ペーパータオルも用意されています。外来者も1回300円で利用可能です。


林道を抜けて、2日ぶりに駐車場へ。改めて第2・第3駐車場の様子も確認してきました。



林道終点の東屋には登山ポストと、登山者が感想を書き込む情報共有の掲示板がありました。これがなかなか面白い。
イッチーの山旅セット|塩見岳1泊2日の装備
今回の塩見岳に実際に連れていった相棒たちです。水場が1ヶ所しかない・トイレは携帯トイレ・部屋にコンセントなしという条件なので、いつもの装備に加えて「自己完結」の道具が効いてきます。全装備の一覧は登山ギアおすすめ大全にまとめています。

気になるギアがあったら各リンクからチェックしてみてね。ぜんぶボクが実際に使っているものだよ。シューズ(MERRELL)とソックス(injinji)、アイマスク・耳栓・モバイルバッテリー・携帯トイレ・ハッカ油は上の山小屋レポで紹介したとおり!
ザック・レインウェア
山小屋泊なら45L前後がちょうど良いサイズ感。レインウェアは着なくても必ず上下で持っていきます。
行動食
定番のようかんとアミノ酸。今回はツルヤのグミも大活躍でした。
アクセサリー・小物
サングラスと手ぬぐいはイッチーの定番。山小屋泊では消灯後のヘッドランプも必須です。
持ち物チェックリスト(山小屋泊1泊2日・夏)
✅ 塩見小屋に泊まるなら、これは忘れずに
- インナーシーツ(小屋のシュラフを使う人は持参と案内。売店でも800円で購入可)
- アイマスク・耳栓(仕切りはカーテンのみ)
- モバイルバッテリー(部屋にコンセントなし・充電は1人1台まで)
- 水(ルート上の水場は「ほとけの清水」1ヶ所のみ。小屋では500ml=500円)
- ゴミ袋(売店で買ったものも含めゴミはすべて持ち帰り。※使用済み携帯トイレだけは小屋の回収ボックスへ出せます)
- 防寒着(8月でも朝は12℃)
- ヘルメット(山頂直下の岩場・落石注意)
- 現金(協力金・売店・トイレチップ用)
よくある質問(FAQ)
Q. 塩見岳はどの登山口から登るのが一般的ですか?
A. 長野県側の鳥倉(とりくら)登山口が最も一般的です。第1駐車場(約30台・トイレあり)から林道を約3km歩くと登山口に着きます。かつて使われた塩川小屋方面のルートは現在閉鎖されています(2026年8月時点)。
Q. 鳥倉登山口の駐車場は混みますか?
A. 第1(約30台)・第2(約15台)・第3(約30台)の3つがあります。今回は日曜21時着の車中泊で第1に停められましたが、週末は第3まで満車になり路上駐車も出るそうです。バスは第1・第2にのみ停まります。
Q. バスでもアクセスできますか?
A. 伊那バスが運行しています。登山口方面へは1日2本(2026年8月時点で8:19/13:44)、帰りの鳥倉登山口発も1日2本(9:15/14:35)です。本数が少ないので、乗り遅れると行程が崩れます。最新の時刻は伊那バス公式サイトでご確認ください。
Q. 日帰りはできますか?
A. 距離25km・累積標高約2,200m・コース定数57で、一般的には1泊2日の行程です。三伏峠小屋泊または塩見小屋泊が定番で、健脚者が日帰りする例もありますが、バスの時刻や午後の雷雨リスクを考えるとおすすめしません。
Q. ルート上に水場はありますか?
A. 豊口ルートの「ほとけの清水」1ヶ所のみです。訪問時は水量がチョロチョロという程度でした。塩見小屋では飲料水が500ml=500円、2L=1,000円で購入できます(2026年8月時点)。
Q. 塩見小屋のトイレはどうなっていますか?
A. 携帯トイレ専用で、使用済みの袋は小屋の回収ボックスに出せます(持ち帰り不要)。宿泊者はトイレ袋の配布・回収とも無料。宿泊者以外も1枚300円(回収料込み)で購入でき、持参した携帯トイレの処分は回収料100円です。受付時に使い方のレクチャーがあります。男性の小用は屋外の小便器を使います(宿泊者無料・宿泊者以外は1回100円)。
Q. 塩見小屋に充電設備はありますか?
A. 小屋の充電コーナーで無料で充電できますが、1人1台まで・部屋への持ち込み不可です。各部屋にコンセントはないので、モバイルバッテリーを持参するのが基本です。
Q. 塩見小屋で電波は入りますか?
A. 小屋の横の展望所が電波の入るスポットです。日本通信SIM(ドコモ回線)では展望所に立つと電波を拾えました。キャリアや天候により変わるため、圏外前提で計画するのが安全です。
Q. 塩見小屋の食事はどんな内容ですか?
A. 今回の夕食はロールキャベツとエビフライで、ご飯とスープはおかわり自由でした(食事時間は30分交代制)。朝食は鮭・ウインナー・卵焼きが中心です。売店ではカップ麺各600円、おはぎ600円、挽きたてコーヒー(宿泊者500円)などが購入できます(2026年8月時点)。
Q. 三伏峠小屋の名物カレーはいくらですか?
A. 管理人さん手作りのカレーが1,200円です(2026年8月時点)。具材が溶け込んだ甘口で、温かい山菜そば(1,200円)もあります。三伏峠小屋のトイレは屋外200円・屋内300円です。
Q. 山頂直下の岩場は危険ですか?
A. 天狗岩から山頂にかけて鎖場と岩場が続きます。三点支持で落ち着いて登れば通過できますが、落石注意の看板があり、ヘルメットの携行をおすすめします。ガスや雨で岩が濡れている日は特に慎重に。
Q. 8月でも防寒着は必要ですか?
A. 必要です。今回の朝の外気温は12℃でした。稜線の小屋は日が落ちると冷えるので、薄手のダウンやフリースを1枚持っていくと安心です。
Q. 前泊はどうすればいいですか?
A. 鳥倉第1駐車場での車中泊が定番です。今回は21時ごろ到着で駐車でき、公衆トイレもあります(週末は第3駐車場まで満車になることも)。入浴は松川IC近くの信州まつかわ温泉「清流苑」が営業時間・設備とも登山前後にちょうど良いです。
まとめ|塩見岳は「山小屋を楽しむ山」でした
初めての塩見岳は、あいにくのガスがちの2日間。それでも、ブロッケン現象、岩の色が変わっていく稜線、挽きたてのコーヒー、ご飯おかわり自由の夕食、そして下山後のカレー——景色以外の楽しみがこんなにある山だと教えてもらいました。
⛰️ こんな人におすすめ
- 南アルプスの3,000m峰に挑戦したい中級者以上の方
- 「山小屋そのもの」を楽しみたい方(塩見小屋の自己完結スタイルは体験する価値あり)
- 静かな苔の森と地質の変化を味わいたい方
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ーディングでは技術的難易度Eに区分される。”, “url”: “https://itadaki-meshi.com/shiomidake-tozan-guide/”, “geo”: {“@type”: “GeoCoordinates”, “latitude”: 36.6236, “longitude”: 137.6172}, “address”: {“@type”: “PostalAddress”, “addressRegion”: “富山県”, “addressLocality”: “中新川郡上市町”, “addressCountry”: “JP”}, “isAccessibleForFree”: true, “publicAccess”: true}下りで膝が痛い、すぐ息が上がる——その悩み、「身体の使い方」で変わります
イッチー(プロ山岳フィジカルコーチ)の「登山の身体づくりセミナー」を東京・高尾で定期開催中。座学+実技で、一生ケガなく登れる身体をつくります。参加者評価 ★4.76(77件)。
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